5月初頭の台湾にて。マンゴー(芒果)は、去年の八八水災の影響で不作が予想されているという。
これは紙袋こそはめられているが街中のものなので、玉井のような産地の様子までは分からない。ただ、この木の実も全体的にいびつではあった。
それでも市場には地物のマンゴーが並んでいる。特にこれは沢山売られていた。
緑の小さな実で、いわゆるマンゴーとはだいぶ見た目が異なる。これは土芒果と呼ばれる在来種だ。
土芒果。形は間違いなくマンゴーである。
ただまぁ、この色では未熟な果実に見える。
しかし割ってみれば、この通り完熟している。
見た目でも分かるように繊維が多い。一般のマンゴーであれば、その内側に立派な果肉が控えているけれど、これは中央に巨大な種があるため、可食部分はかなり少ない。
土芒果は1個あたりでいえば日本円で50円もしない(安いのはたぶん30円ぐらい)。ここから高級マンゴーへ改良されたのだなぁ、としみじみ考えたい方は現地で買うべし。なお、小さいけれどちゃんとマンゴーの味で、朝食べると甘酸っぱくて目覚ましになるよ。
C.M.スキナー『花の神話と伝説』(垂水雄二・福屋正修訳)では、熱帯を旅行する者がマンゴーに抱く思いを、このように記している。
なぜなら、そのあふれるような果汁からは丸ごとすっかり食べられるような感じを受けるのに、実際に食べてみると、たいていの人はテレピン油に浸したドア・マットのような味がするというからである。
現在のマンゴーのイメージからすると信じ難い文であるが、ウルシ科のマンゴーが脂臭かったというのはある程度想像出来なくもない(土芒果の正面もベタベタする)。スキナー氏は、それでも現地では生命の木なんだよ、とかフォローしている。
原著は1925年版なので、およそ百年前のマンゴーはそういうものだった、という資料として読むと面白い。
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