2011年4月24日日曜日

プルメリア(キョウチクトウ科)

プルメリア(キョウチクトウ科)
 熱帯アメリカ原産のプルメリア。プルメリア属の落葉小高木である。
 ハワイなどでも盛んに栽培されていて、レイの材料ともされる。一方でこの花は東南アジア方面でもポピュラーだったりする。

プルメリア(キョウチクトウ科)
 上の写真は、台湾台南市の安平にある安平古堡にて撮影。
 安平古堡とは、17世紀にオランダが台湾を支配した際のゼーランジャ城だが、プルメリアもオランダ人が伝えたらしい。台湾では三友花、緬梔、雞蛋花、番茉莉などの名がある。
 三友花の三友は普通は松竹梅だが、この場合はよく分からない。詩文に多かったようだ。
 緬梔の梔はクチナシのこと。緬は細い糸の意味だが、緬甸(ビルマ)かも知れない。東南アジア経由で伝わったという認識なら後者だろう。現在の台湾では、学術表記はこれを用いる。
 番茉莉は直前の記事の番石榴と同じく、西洋から伝わった意味の番と、茉莉花(ジャスミン)。プルメリアはかなり強烈な香りがある。

プルメリア(キョウチクトウ科)
 問題は雞蛋花だったりする。これは文字通り鶏の卵の花で、中央が黄色くて淵が白い花の色から名づけられた。しかし実は、野生のプルメリアの花はこの色ではないのだ。
 どうやら台湾には、野生種系ではなく黄色と白の園芸品種が先に伝わったらしい。実際、街で見かける花はほとんどこの色である。

プルメリア(キョウチクトウ科)
 こちらが野生種に近い色。たまに栽培されている程度だ。

 なお、プルメリアを仏教における聖なる花とする見解が、ある時期には存在していたらしい。
 1772年成立の朱景英『海東札記』巻三には、次のような項目がある。

 貝多羅花、樹多癭結、枝皆三杈、葉如枇杷、而厚韌過之、可以寫經、所謂貝葉也。
花瓣五出,間有六出者,大如小酒碊。瓣皆左紐白色、近芷則黄苞微紫、香如擘橙、日開數萬朵、落地如鋪銀。略無萎意。
余署前庭一株、老樹屈蟠、婆娑廣蔭、竟歳在馥郁中、殊饒佳致。


 貝多羅とは古代インドで紙のように用いられたもので、経典が書かれることから神聖視される。普通はパルミラヤシの葉のはずである。
 しかし、ここで貝多羅として紹介される内容を読めば、ヤシ類ではないとすぐに分かる。白い花が咲き芳香のあるこの植物を、潘富俊『福爾摩沙植物記』はプルメリアととらえている。
 寺廟に飾られたり、はたまた葬儀に使われたり、そうした宗教的色彩を与えられたからこそ、ポピュラーな花になったのかも知れない。

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