2011年4月27日水曜日
ギンコウボク(モクレン科)
閩南式の赤っぽい屋根と対照的な明るい緑の葉。これは台湾の台南市にある開元寺で撮影した。
ギンコウボク(Michelia M. × alba DC.)は中国南部などで栽培される常緑高木。オガタマノキの仲間である。
学名でも分かるように、現在は雑種とみなされている。ただし雑種といっても最近のものではないようで、潘富俊『福爾摩沙植物記』によれば、明代には中国南部で栽培されていたという。
ただし潘富俊は雑種説に立たないので、五百年前の話が本種そのものなのかは議論の余地がありそうに思える。
目立つのは葉ばかり。ホウノキに似た感じなので銀厚朴らしい。『園芸植物大事典』に従っているが、ほとんど栽培されないなかで、この和名がどれほど知られているかは微妙だ。
台湾では白玉蘭。これは玉蘭(ハクモクレン)に対する名で、中国の文人が愛好したハクモクレンの代用品的な意味合いもあったらしい(台湾の平地ではハクモクレンが育たない)。
もっとも、大陸ではハクモクレンを白玉蘭と呼んだりもするようなのが困ったところ。その場合、本種は白蘭花だったり白蘭だったりする。
ただし見た目は地味でも、この花は強い香りをもっている。
台湾への伝来は鄭氏政権期とみられているが、それは大陸側でこの花を愛好していた人々が渡ってきたから、同時に伝わったということのようだ。
寒さに弱いので日本での栽培は難しい。しかし温暖な台湾や中国南部においては、比較的育てやすい。
こんな利用法もある。寺廟に捧げられた香花である。しぼんだ白い花にはこれも混じっていると思われる(大半はジャスミンだろうけど)。
この花盆は近寄ると強烈な香りがあって、一度嗅げば忘れられないものだ。ついでに、どうにか売りつけようとするオバサンのしつこさも忘れがたい。
というか、滅茶苦茶高いのよね、これ。台南の某所で、まだ台湾慣れしていなかった私が間違って買ってしまった花盆は、なんと200元(600円弱)もした。だいたい、お菓子付きの拝拝セットでも100元なのだから、べらぼうな値段である。
屋台の飯なら二人で食っても200元には届かないことが多い。とんでもない値段である(しつこいな)。
寺廟にも多い木の紹介が、そんな下世話な話で終わるのもアレなので元に戻す。老木の幹の様子でも見ておくれやす。
花盆以外すべての撮影地の開元寺は、私のお気に入りの場所である。仏教寺院はこういう空気じゃなきゃなぁ、と思えるところなので、皆さんも行ってみよう(詳しくは姉妹ブログを見てね)。
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